笑顔の素敵だった友達が癌で戦って。
そして、この世を去ってしまった。
残業の続く私は入院した彼のお見舞いに向かったけれど
面会時間ギリギリになってしまい、運動不足の体にムチ打って
猛ダッシュで肩で息を切らせながら、何とか病室に駆け込んだ。
口から物を食べられなくなってしまっていた彼は痩せた体を起こして、
汗だくで病室に着いた私に、満面の笑みで迎えてくれた。
「ほんま深雪ちゃん、笑かす。そんなにはぁはぁ息切らして。
面会時間ちょっと過ぎてるけどそんなに必死やったら看護婦さんも怒られへんし。」
「でも、ほんまに忙しいやろに、来てくれてありがとうな。
ボクは絶対に元気になって病院を出るから待っててな。
もうちょっとだけ、待っててな。」
と言った。
相変わらず素敵な笑顔で。
「元気そうで安心したわ。待ってるわなぁ~。」
って私もつられて満面の笑みで答えた。
「しかしそんなにはぁはぁ言ってたら変質者みたいやでぇ~。」
2人でゲラゲラ笑った。
それが去年の12月9日だった。
それが最後の会話になってしまった。
そして今月、1月14日夜中、息を引き取った。
46歳の生涯。
ものすごく、頻繁に連絡を取って、という友達ではなかったけど。
私がイタリア行きを決めた時、

「でっかくなっちゃったぁ~」マギー審司の手品?の道具『耳』をくれた。
「めっちゃ練習してうまくなっときや。」
「そしてイタリアで意思疎通の壁を感じたらこれを使いや。
笑いは世界共通やねんから、すぐに友達が出来るから。」
と。
この『耳』
大活躍。
語学学校中でちょっとした有名人にまでなってしまった。
フィレンツェで友達に困る事は無く、楽しく過ごした。
「笑い」
「笑顔」
のパワーを教えてくれた人。
安らかに眠ってね。
今年の目標は
「自分自身が素敵な笑顔で居られるように」
「周りの人達を素敵な笑顔にしてあげられますように」